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こんな学校もういやだ

 帰りの清掃が二人しかいない班がある。一人が休むと残った一人で教室を掃除しなければならない。だから、6時間目が終わるときに「今日は当番だからな」と声をかけたのに一人がサボった。「あと数日で卒業だから何も恐くない」という計算をした上でのさぼりだろう。 ずるい生徒だったのでそれぐらいのことはやりかねないと思ったが、本当にさぼるとやはり呆れてしまう。人間としての質の悪さは直らないのかもしれない。

 残った一人と、私で掃除をすることになった。もっとも、偶然に訪れるこんな時間は教育的には貴重な機会だ。生徒も日頃の警戒心を忘れて、本音で色々話してくれる。

 「もうすぐ卒業だけど、学校に来たくない。誰とも会いたくない。ずっといろんな人に嫌みを言われたり、バカにされたり、無視されたりしたから。今日も一人でほっとしてる」と悲しいことをいう。

 この生徒の感受性の問題もあるが、揶揄されることが多かったのは確かだ。つらい3年間だったと感じても不思議はなかった。

 「そう。良かったね。もうちょっとだもんな。」と返事をすると「はい。」とうれしそうに笑った。

 学校は勉強だけをしている場ではない。時にはずるい奴に仕事を押しつけられ、椅子の上に画鋲を置かれ、上靴を泥水のなかに捨てられたりする試練も待ち受けている。そして、したたかさを身につけていく。

 それから数日後、予餞会の会場で追い打ちをかけるように下級生からバカにするような言葉を浴びせられた。

 私の姿を見つけた彼女は、怒りをあらわにして駆け寄ってきた。

「もう帰ります。こんな学校一秒だっていたくない。掃除の時に私が言ったこと覚えてますよね。もういやなんです」とまくし立てると泣き出した。

 学校は多くの人とかかわりながら生活をしていく場だ。当然いろいろな試練が待ち受けている。それが特別な日であってもお構いなくやってくる。

 そんな試練がずいぶん彼女を強くしてきた。この出来事もいつかは生きる糧になるだろう。

 

 

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