化粧が終わるまで
彼女の両親は食べ物屋を営み、早朝から店にでていた。祖父母が隣に住んでおり、本人はそちらにいる方が多かった。朝布団の中にいても家族は気づいてなかった。電話の向こうから「Yまだ学校に行ってないってよ」「布団見てきて」「寝てる」という声が聞こえることもあった。 活発で人なつっこく生徒間に人気があった。校外でのつきあいも多かった。汽車通学の生徒だが、汽車でくることはほとんどなく、遅刻して家族に送り届けられる毎日だった。夜遊びと携帯電話はやがて昼夜逆転の生活を生み出した。化粧を欠かさず、素顔がどんな顔だったか、私の記憶にはない。三泊四日の見学旅行中、彼女は一度も朝食をとらなかった。朝起きられないうえに、化粧に固執した。毎朝30分も化粧を続け、それが終わるまで決して部屋から出てこなかった。12月で欠席時間数が限界になり、進級が危ぶまれた。その時でさえ、授業に間に合う時間に起きているのだが、化粧を終えるまで決して家を出なかった。遅刻の連続により、午前中の授業の出席数が不足をきたした。休学手続きをするとき「もう勉強したくないから、退学でいいよ。通信教育なんてとんでもないし、私は勉強本当にきらいだから」と言ったが、両親の意志もあって休学手続きを取った。翌3月に退学したが、すぐに結婚し一児の母親になっている。子供が産まれた時に携帯電話を使って写真を送ってきた。
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