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自慢の教え子

 彼女は兄夫婦の家から通学していた。身上書を見ていて不思議に思い「ご両親はどうしたの」という問いに「死んじゃったの」と答えた。「悪いことを聞いてしまった」と思ったのが表情に出たらしく「先生大丈夫だよ気にしなくても」と慰められてしまった。それから三年間担任したが、まったく暗さを感じさせない生徒だった。やがて就職する時期になり地元の電気店を受験した。いつまでたっても返事がこないので問い合わせたところ「テレビや冷蔵庫を配達するようなこともあるので男子がほしいというのが本音だ」という返事が返ってきた。私は怒り、いかに彼女がすばらしい人物であるか力説した。ただし進路指導部長の前で。その熱意が伝わったかどうか定かではないが、彼女はしぶしぶ採用された。
 それから二年後私は進路指導部の一員として、その電気店へ生徒の採用をお願いするために出向いた。応対してくれた社長は彼女を気に入っており「あの子はうちの宝物です」と言い切った。それもそのはず、彼女が入ってから月の売り上げが百万円単位で伸びたのだった。親切なため固定客が増えた。周りの店員も彼女に影響されてやる気をだした。客をつかむ喜びを知り、嫌々仕事をしていた店員も仕事を楽しみ始めて店の雰囲気がよくなったというのだ。彼女は大事にされ、今もその店で働いている。ファンも多い。「あの子は私が担任したんです」というのが快感である。
 先日、店を訪れたとき「来年結婚します。絶対出席してね」と言われた。「もちろんだよ」と答えながら、何となくがっかりしている自分がおかしかった。

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コメント

私も高等学校の教員をしています。今は1年生の担任をしていますが、去年は高3でした。確かに手を多くかけさせられた生徒ほど、何か自分の勲章のような存在になりますよね。教師の醍醐味です。その数万倍も苦労がありますがね。

投稿: ドラめっちゃん | 2004/12/18 23:43

コメントありがとうございます。続けて担任を持ってるんですね。偉いですね。私は一度だけ6年続けてもちましたが最後はへとへとでおかしくなりそうでした。続けて元気いっぱいやってる人はすごいと思います。 本当に担任やってよかったと思うのは卒業式からあとのことですよね。がんばりましょう。

投稿: Teacher | 2004/12/20 18:33

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