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不登校事例を書き留めることの意味

 このサイトは2004年に立ち上げました。高校で新しい生徒を担任したときにあまりにも不登校の生徒が多かったことに驚き、その経過記録をまとめた指導資料が基になっています。、
 時が流れて2010年に自分の子どもが不登校に陥りました。今度は親として不登校に立ち向かうことになりました。当たり前の話ですが、不登校に決定的な解決方法はありません。多くの親がそうであるように「何が悪かったのか」「甘やかして育ててしまった」「学校の中に問題がある」「携帯電話とメールが気力を削いでいる」など色々な原因を考え、迷い、怒り、不安に翻弄されながら過ごす日々が続きました。「居場所を作れば直る」「不登校は悪いことじゃない」などカウンセリング的なアドバイスも、的を射ているとは思えず結局「どれも間違ってるし、どれも正しい」と考えることにしました。ただ、不登校の本人も揺らぎ、家族も揺らいだとき、多くの事例は台風に遭ったときの海図の役割を果たしてくれました。
 ここには、自分で記録したもののほか、掲示板に寄せられた体験や、時には寄せられた批判もあります。それらは今、不登校の渦中にいる本人、家族の方々にきっと参考になると信じています。

2012/05/13

学級通信の底力 耳からの情報を聞き取るのが苦手な生徒たち

  ときおり「口で言っただけでは話が伝わりにくい」と感じる生徒に出会います。学校では、1日の行動についてほとんどの連絡が口頭で行われます。話を聞き取ることができない生徒たちにしてみると「今日、これから自分はどんなことをしなければいけないのか、今日なにがあるのかわからない」ことになります。今、自分の置かれている環境がわからないのです。「学校が怖い」「人が怖い」という漠然とした不安感は「自分が居る環境がわからない」ことがかなり影響しているように感じます。
 この春、担任をもつことになった新入生の経歴を調べると、小学校あるいは中学校で年間30日以上欠席していた生徒が7割を越えていました。中学校へ1日も行ってない生徒も居ます。「全日制に行きたかったが、欠席数が多すぎて受け入れてもらえないし、たとえ行っても続ける自信がない」という生徒たちが定時制に入学してきます。「定時制は基礎から教えてくれるから」と再起をかける生徒も多数居ます。しかし、ハードルは高く「夕方から始まって、9時に終わる授業」、人数が少ないとはいえ「苦手な集団生活」に適応しなければなりません。担任として1年目の課題はこの生徒たちを定時制という特殊な環境になじませること、軟着陸させることでした。

 「動物は自分を取り巻く環境を把握することができれば、安心し落ち着いた行動ができます。人間だって同じはずである」と考え、そのためにするべきことは生徒に 「定時制という環境」「学校の姿勢」「HRの運営者である担任の考え方」「毎日するべき行動」「近日中の行事」を毎日確実に伝えることでした。
 5分足らずのSHRで伝えるには情報量が多すぎますので毎日「学級通信」を発行し続け、一人でも多くの生徒をつなぎ止めておいて、脱落しそうになる生徒を個別指導で引っ張り上げることにしました。生徒たちの「今度こそ」という意気込みを頼りに軟着陸させようとしたのです。

 この学級通信の効果は私が想像した以上のものがありました。5月11日現在「入学以来無欠席」が続いています。11日に保護者の方と話す機会がありました。皆さんから「中学校には行けなかったのに、今は楽しそうに通学しています」「積極性がでてきました」「家庭内でも素直になったように思います」と嬉しい話を聞くことができました。

 過去の担任でも学級通信は作っていましたが、保護者に学校でのできごとを伝えるのが主な目的で、ほとんど春夏秋冬の季刊になっていました。自分の中に「口頭で連絡すれば済むことだし、担任の考えや人柄は毎日接しているからわかるだろう。わざわざ時間を割いて学級通信をつくるのは無駄である」という考えがあったからです。
 今私は時間をかけて学級通信を作っています。

2012/05/09

不登校の生徒を対象にした学校を訪ね歩く

 もう一年前になります。娘が落ち着いて、私も落ち着いてようやく冷静に話ができるようになった頃、行き場を求めて、不登校の生徒を対象にした学校を訪問しました。気晴らしに娘と一泊二日で札幌を旅するような気持ちで出かけました。サポート校の札幌中央義塾高等学院さんは塾長の続さんにお世話になってましたので、私としてはあずかっていただけると安心だったのですが「全日制の高校生と同じ生活を送りたい」という娘の希望が強く、池上学院さんとクラーク国際高校さんを見学させていただきました。どちらも通信制の高校ですが、毎日通学して、担任や友達と普通にかかわわることができるという特徴を持っています。
 
 北星余市高校も非常にしっかりした教育を行っていることが知られており、選択枝に加えたかったのですが「寮での生活」やテレビで放送されたような「熱い毎日」に二の足を踏みました。

 池上学院さんではお忙しい中、教頭先生が対応してくださり「3年以上の在学期間が必要なので、前の学校を退学してしまったらもう、同期の生徒と同時に高校を卒業することはできない。一年よく考えて、来年来たかったら来なさい。選択枝はたくさんあります。予備校に通って、高卒認定試験を受けるという手もあるし、自分がしっかりしていれば公立の有朋高校も授業料がただだから良い選択だと思う。お父さんの方の問題かも知れないけどうちは安くないよ。どっちにしても今焦って決める必要はない。この一年間をどう過ごすかはあなたにとって重要なことだ。しっかり勉強してください」という趣旨のお話をしてくださいました。このお話を聞いて、娘は考えるところが多かったようです。

 クラーク国際高校さんはCMで娘も印象に残っていたらしく、退学直後から行きたいと言っていた学校でした。娘が自分で学校に「入学したい」という内容のメールを送り「今年は難しい」と丁寧な返事をいただいていました。先生方がみんなカウンセラーの資格を持っているそうです。行ってみて対応される先生方の若さに驚きました。同時にちょっぴり不安も感じました。街中のビルが学校になっており、車の中からショールームのように大きな窓を通して、活動している多数の生徒が見えます。制服が学校であることを示していました。小人数クラスでバラエティに富んだ授業が展開されおり、受験指導、音楽、よさこいの練習をしているクラスもありました。生徒達の真剣なまなざしが印象に残りました。

 二校を見学させていただき、どちらも非常に熱心に取り組み、再起をかける生徒にとっては良い環境であることがわかりました。 ただ、私や娘が思い描いていた学校とはちょっと異なったのです。「体育館がないこと、グランドがないこと、調理室や実験室がないこと・・・。」

 
 帰りの車の中で「早く家を離れて、どこかの学校へ行きたいと思っていたけど、もう少し家にいて勉強するかな」と揺れる気持ちを口に出さずに居られなかったようです。

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